オレ、取締役

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日高工業株式会社

■社 名 日高工業株式会社
■代表者 今村順
■設 立 昭和40年
■資本金 1000万円
■従業員数 120名(男性75名、女性45名)
■所在地
本社工場:〒448-0002 刈谷市一里山町柳原7番地1
TEL 0566-36-2390 FAX 0566-36-0279
今岡工場:〒448-0008 刈谷市今岡町新田70番地
TEL 0566-36-7117 FAX 0566-36-7356
豊明工場:〒470-1161 豊明市栄町新左山1番765
TEL 0562-96-0465 FAX 0562-96-0495
■事業内容
自動車部品や工作機械部品の金属熱処理加工

 三河に生まれて42年、金属熱処理加工の分野で最新の技術を提供している会社である。取り扱う製品の99%がブレーキ、ミッション、ドアロックなど自動車部品だ。
 製造業というと、高齢の男性社員だけが働いているというイメージがある。しかし、工場の中を歩くと、若い従業員、とりわけ若い女性がたくさん働いている姿が目につく。社長の今村順氏に話を聞いた。


―――工場の中では、若い女性がたくさん働いていますね。
 高卒の社員を募集すると、男性よりも女性の方がたくさん応募していただける。採用が決まると、最初の半年間ぐらいで、製造現場や事務職など、いくつかの職場を体験してもらう。すると、事務部門よりも製造現場で働くことを希望する女性が多いのです。
 女性が働ける職場は「人に優しい職場」だといえます。具体的にいえば、作業環境が良好であり、体に大きな負荷がかからない作業が中心の職場です。女性が働ける職場であれば、男性社員が年をとっても働き続けることができますからね。

―――それでは、金属の熱処理について簡単に説明して下さいますか。 
 金属を加熱、冷却することで、用途に適した強さ、固さ、粘り強さを備えた金属素材や金属製品をつくる技術です。我が国では、日本刀の製作にみられるように、古い歴史を持つ技術です。

―――どんな製品を熱処理するのでしょうか?
 ほとんどが自動車部品です。お客様から金属製品をお預かりして、熱処理加工をして納品します。
  ここでポイントになるのが、熱処理技術というのは〝目に見えない技術〟だということ。ちゃんと熱処理ができているかどうかは、外観からは分からない。納品された製品を全部切断して検査するわけにもいかない。
 そうすると、品質は信頼で担保してもらうしかない。「日高工業さんから入ってくる製品はすべて良いものだ」という確信をお客様に持っていただく、日高工業というブランドで信頼してもらうしかないんです。

―――経営理念や社是はありますか?
 「正確・安定・親切」が我が社の社是です。正確な仕事をする、安定した経営をする、お客様や社員に親切にする――シンプルですが、実に含蓄のある言葉だと思います。

―――社員育成についての考えをお聞かせください。
 若手にどんどん仕事を任せていくことを心がけています。2004年に豊明に新工場をつくりました。そのとき、各部署から30代の社員を集めてチームをつくり、34歳の人間にプロジェクトリーダーを任せました。
 どの地域に工場を建てるか、工場のレイアウトをどうするか、どういう設備を入れるかなど、すべての指揮を執ってもらいました。たいへん責任の重い仕事ですからプレッシャーも感じたでしょうが、大きなやりがいを感じながらプロジェクトを進めていただろうと思いますよ。

―――将来の見通しについて教えて下さい。
 製造業の空洞化、つまり、日本国内での仕事がなくなってしまって、工場が海外に移転してしまうことを心配する人もいますね。
 たしかに、車の製造台数についていえば、日本はこれからそんなに伸びるとは思えない。それに対して、海外の市場はこれからどんどん伸びていきます。しかし、だからといって、全部の自動車産業が海外に行く、という話にはなりません。
 自動車の組み立ては、市場の近くで行われます。しかし、車一台について2万点から3万点という自動車部品産業はそうそう海外には行けない。
 なぜならば、高い技術力が要求されるからです。また、その技術を支えている装置というのがかなり高価なものになります。その高価な装置を導入するためには、それなりの量が出ないといけない。しかし、単一の地域では、まだそこまではいっていない。
 しかしながら、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)やVISTA(ベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチン)といった国の経済がこれからどんどん成長していく。そういう中、何年か後には海外への進出という可能性も考えておかないといけない。そのときに備えて、若手社員の育成に励むつもりです。


吉野光太郎(中京大学経済学部3年)

 社長さんが「若手社員に活躍の場を与える」という考えを持っており、活躍の場を与えられた若手社員はそれに応え、大きなやりがいを感じながら仕事をしている様子が伝わってきました。
 また、社員の方の中に文系の方がたくさんいるのに驚きました。文系にいながら、実は製造業に興味のある大学生、文系から理系に変わりたいと思っている大学生が、僕のまわりにはたくさんいます。そういう学生にとっては、工場の現場を生で見るのは、とても意味のあることではないかと思います。
 会社の雰囲気がとても良いです。仕事は大変でも「また明日、がんばって仕事をしたい!」と思えるような会社でした。たとえ給料が高くてもノルマがきつくて雰囲気の悪い会社より、雰囲気の良い会社で働きたいと思いました。


堀貴光(岐阜大学・地域科学部2年) 

 社長のお話を聞いて、印象に残ったことは三つあります。
 一つは、「社会の中の企業である」ということを強く意識しておられること。 「日本の中の中部という地区の産業集積があってはじめて、私たちの会社は利益をあげることが出来る」というお考えや、「お客のニーズにこたえ、品質管理から在庫管理までオリジナルの取り組みによって『日高工業』というブランド力を高めることで、社会の中で価値を認めてもらえるのだ」という考えをお聞きしました。
 二つ目は、こだわりです。「女性に働く場を」という社長の考えは、積極的に女性社員を登用されているだけでなく、従業員の方の個々の力を高めるための学習や資格取得を強く勧めたりしておられることや、実際に工場内で女性の方と従業員の方と話をなさっている姿を見て、ポーズということでなどではなく、実際にそうなのだということを強く感じました。社員として大事になさっているということではなく、人間として一人一人の方を大切にしている、という印象を持ちました。
 三つ目は、ブレがないこと。一見ばらばらのように見えるような取り組みが、じつは明確な意図の下に、一つの方向に収斂していっていることが、実際の日高工業の取り組みと社長のお話を聞いていて感じました。
 当たり前のことを当たり前に行う、ということがあらゆる事業の基礎になっているということ、その当たり前は環境の変化によって次々と変わっていくということの二点にくわえ、モチベーションややる気の根底になっていっている「こだわり」を今後の自分の取り組みの中で大事にしていきたいと思います。


武保あゆみ(第二新卒、現在求職中)

 熱処理をする工場と聞くと、火花が散っているような工場を想像していましたが、実際には清潔で静かな環境の工場でした。
 また、社長の今村さんから、空気や水など環境に対する害を最小限におさえる工夫と努力をされていることを聞き、好感を持ちました。
 技術者の方の話を聞いて分かったのは、鉄という素材を熱処理する技術というのは、非常に奥深いものだということです。どんなことでも、外から眺めているのと、中に入って関わってみることでは大きな違いがあります。中に入って実際に関わってみると、奥の深さ見えてきます。自分が少しでも興味を抱いたことに対して、自分で調べてみて実際にやってみると、いろんな面白いことが見えてくるのではないかと感じました。

森瀬太規(南山大学・経済学部・3年)

 今回、勉強したことは、海外に進出するタイミングは業態によって様々だということです。
 企業探検隊プロジェクトで、これまで専門商社や部品製造会社、ソフト開発の会社などいくつかの中小企業を訪問してきました。ある会社を訪問したとき、日本の大企業が国内の工場を海外移転させるタイミングにあわせ、自らも海外に進出せざる得なくなる、という話を聞きました。
 しかし、熱処理の技術はかなり高度な技術であり、現段階では海外に進出してもまだニーズがないので、海外進出するタイミングを見極めているという話を聞き、一口に海外進出といっても、業態や企業によって違いがあることに驚きました。
 もう一つ、女性の従業員の方が多いこと、さらに製造現場で働く女性の方が多いことに驚きました。体に大きな負担がかかるような肉体労働ではないという理由から、女性も現場で働けるということだそうです。また、事務作業ではなくて「ものづくり」がしたいという女性社員が多いということにも驚きました。女性が作業服を着て、ものを作っている姿はとてもかっこよかったです。